クリエイターさんで、ご自身のウェブサイトにPDFポートフォリオを掲載している人は最近よく見かけますが、正しいやり方ができている人はほとんどいません。
本当は、正しく使えば、営業の強力なツールになれるのがPDFダウンロードです。
ちゃんと活用したい! と思った方に向けて、この記事では、クリエイターのPDFポートフォリオダウンロードは本当はどう使うべきか解説していきます。

ほとんどのクリエイターさんは、もったいない配り方をしています
ほとんどの方は、PDFに直接リンクを貼って「こちらから見てくださいね!」という感じにしています。
このやり方、大変にもったいないです。
なぜなら、せっかくのつながりのチャンスなのに、そのやり方じゃチャンスを活かせないから。
誰が見てくれたかわからないし、何もアクションがない。これだと、わざわざPDFを置いておく意味がありません。
せっかくなら、仕事につなげる一歩にしたいと思いませんか?
そもそもPDFポートフォリオを何のために配るの?
PDFダウンロードって、ただ単に誰にでも配っていたら意味がないんです。
実は、あれは「接点を持つための道具」なんです。
企業のウェブサイトに「資料請求はこちら」っていうボタンがついているの、見たことありませんか?
あのボタンのリンク先に行くと、メールアドレスと名前と会社名を記入するフォームがあって、そのあとでPDFの資料がメールで送られてくるしくみになってます。
それにはちゃんと理由があって、後から連絡をとれるからです。「この人うちに興味持ってくれてそう」って相手に連絡をとることができれば、営業がうまくいきやすいですね。だからわざわざメールアドレスを書いてもらうんです。
これは元々2000年代頃から企業がウェブ上でお客さんとつながるために使われてきた手法で、今も多くの企業が実践してます。
クリエイターさんのPDFダウンロードも、そういうふうに使いましょう。
PDFダウンロードは、接点を持つための道具です。
なぜ、ただダウンロードできるだけではダメなのか?
PDFをそのまま置いておくと、たしかに手軽に見てもらえる気がします。でも実際は、誰が見たか分からないし、そのあと何のつながりも生まれません。
そもそも、作例を見てもらうだけならば、ウェブサイト上に作品の画像を掲載してあるはずなので、わざわざPDFをダウンロードさせる意味はほとんどありません。
それともうひとつ、別の注意点もあります。
PDFファイルは中身もふくめて、検索エンジンにちゃんと載ります。PDFの中に「ここに連絡をください」とメールアドレスとか電話番号を書いておけば、それはネットの検索に引っかかってしまう、ということになります。

正しいやり方: フォームをはさむだけでガラッと変わる
じゃあ、どうするのが正しいのか? 手法はのちほど紹介するとして、まずは流れを説明します。
- 各ページに「PDFダウンロードはこちら」ボタンを置く
- ボタンを押すと、そのリンク先にはフォームがある。フォームは名前・企業名・メールアドレスなどの簡単なもの
- フォームを送信した人には、その後にメールが送られてくる。PDFがダウンロードできるURL or PDFがメールに添付されている
こんなふうにすると、ただ見られるだけのPDFではなく、「接点を作る」PDFダウンロードのしくみができます。
最低限とっておきたい項目
必須なのは次の3点。
- 会社名
- お名前
- メールアドレス
企業だと部署名や役職、電話番号などまで書かせるフォームが多いですが、クリエイターさんはそこまでしなくていいでしょう。オプションで、選択式で「興味を持っていただいたポイント」を設けてみてもいいかもしれません。
それから、後からメールを送る可能性があることに同意を求める一文を入れるようにしましょう。
PDFポートフォリオダウンロードは、どうやって作るか?
企業サイトでは計測システムなどを含んだ専門ツールを使うのですが、たいへん高価なので、ここでは安く簡単にできる方法を挙げてみました。
WordPressプラグインを使う
資料ダウンロード機能の専用プラグインが存在します。もしくは、問い合わせフォームプラグイン (有名なのはContactform 7) を工夫して、メールの返信に添付するような流れを作ることもできます。少々技術力が要ります。
ちなみにPDFをウェブ上に置いておくならば、誰しもが自由にアクセスできない場所に置いておく必要があります。問い合わせフォームプラグインを工夫してつくると、この設定がうまく行かずに、結局PDFがウェブ検索に出てしまうというミスがよくあるので、注意が必要です。
メール配信サービスを使う
オートビズやMailchimpといったメール配信サービスには、メールアドレスを登録してもらうための仕組みがあって、そこに資料ダウンロードを組み合わせることもできます。デメリットとしては有料であること。ですが、PDFダウンロードじたい、メールを配信してこそ活きるしくみなので、割り切って契約してみてもいいと思います。
問い合わせフォーム + 手動で送る
ダウンロード希望専用の問い合わせフォームだけ置いておいて、その通知が来たら自分で直接、PDFをメールで送る。アナログすぎる手法ですが、ついでにちょっとしたやり取りなどもできるので、案外悪くないかもしれません。ずっとメールをチェックしておかなくてはならないのはデメリットです。
ダウンロードしてもらってからが本番。メール配信
さて、PDFダウンロードの仕組みを作ったら終わりではありません。
この後にいちばん大事なことがあります。それは、定期的にメールで連絡を送ることです。
ダウンロードしてくれた方は、つまりあなたに興味を持ってくれている人です。しかしながら、クリエイターに仕事を依頼するタイミングというのは、必ずしも今とは限りません。
例えば、企業の中の人が誰かクリエイターに依頼するとして、その際に何名かのクリエイターのポートフォリオを集めて、その中から選ぶとしましょう。依頼するのは1名だとしても、その際選ばなかったクリエイターも、別にダメというわけではないのです。別の企画ならマッチしたかもしれません。
でも次のチャンスがいつなのか、それは依頼する側にもわかりません。数年後かもしれません。だから、長期的に連絡をとっていくことが、仕事のチャンスにつながるのです。
内容は、がっつり売り込みの営業メールでないほうがいいです。「最近こんな仕事をしましたよ」とか「ご不明のことがあればぜひお尋ねください」といった、軽い内容でOKです。頻度は2〜4ヶ月に一度くらいでいいでしょう。あまりに頻繁だと逆効果です。
よくある質問、疑問
Q. フォームをはさむとハードルが高くなって見てもらえなくならない?
むしろ、質の高い企業ユーザーに見られる確率が上がります。
単にPDFにリンクだけした状態だと、同業者や興味本位のアクセスの確率がかなり高くなります。このような人たちからいくらアクセスされようが、仕事にはつながりませんね。
一方で、企業の中の人にとっては、フォームをはさんだダウンロードのしくみは、さほど珍しいものではありません。必要があると思ったら見てくれます。全体として見られる回数が減ったとしても、本当に興味を持ってくれた人との質の高い接点が生まれやすくなるのです。
Q. 知らない人にメール送って嫌がられない?
メールアドレスを記入してくださったということは、名刺交換みたいな感覚だととらえるとわかりやすいと思います。
最初のメールは「興味を持ってくださってありがとうございました、何かご不明点があれば気軽にお尋ねくださいね」といった、優しい挨拶にしておきましょう。ビジネスのやり取りですから、礼儀をもって接してイヤな態度を返されることはほぼありません。
ただ、押し付けがましい営業は誰にとってもイヤなもの。必要があれば向こうから依頼が来るので、営業色をガンガンに出していくのは避けましょう。
Q. 今さらメールですか? SNSでつながっておくほうがいいのでは?
結局のところメールが有効です。
企業に勤めている人は、個人ではアカウントを持っていたとしても、会社用のSNSアカウントを持っていることはほぼありません (大企業の広報アカウントは例外中の例外)。その関係上、企業に勤めている人はSNSのDMでは仕事の依頼をしないのです。一方、メールを使わない企業人はいません。
だから、企業とちゃんとした取引をしたいなら、メールが確実です。
Q. ポートフォリオの中身もアップデートしたほうがいい?
もちろん!
作品を並べるだけはNG。「こんなことができます」「どんな仕事が得意です」といったあなたの売りポイントを、文章で書き添えることが必須です。
「わざわざダウンロードしたけど、細かい情報が得られてよかったな」って思ってもらえると、仕事につながる確率がアップします。PDFは一般公開しない前提で、ちょっと踏み込んだ情報を入れておくとありがたがられることが多いですよ。例えば、参考価格や、細かい依頼方法の説明、電話番号など。
ポートフォリオの効果的な作り方は、別の記事で紹介していますので、よろしければこちらも読んでみてください。
ポートフォリオPDFを営業の味方にしよう
この記事でお伝えしたかったことのポイントはこちら:
- ただ置いておくだけのPDF配布は、もったいない
- フォームで名前とメールアドレスをもらうだけで、つながりが生まれる
- ダウンロードしていただいた後は、メールを送ろう
クリエイターズリストでは、クリエイター会員に登録していただくと、PDFダウンロードフォームのついたプロフィールページが無料で作れます(※)。
(※クリエイター審査通過が必要 / 無料プランはリード情報公開に料金がかかります)
ぜひクリエイター会員登録して、仕事の機会アップに活用してみてくださいね。